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『ターン』
著者・北村薫
感想:

前作「スキップ」は時をスキップして失ってしまった時の輝きを描いていたように思いますが、今回の「ターン」は。。。

読みはじめ、前作からそのまま続くと思いきや、まったく違う作品でした。登場人物もみんな、まったく違う。

で、今回は主人公が事故をきっかけに時を「ターン」=繰り返し  してしまうお話。

誰もいない世界で、「その日」を毎日繰り返す。
その時間になると、前日のその時間とまったく同じ状態に世界も自分も戻ってしまっていて、記憶だけが積み重なっていく。

主人公には「その日」が永遠に続くかに思える。

時の「瞬間」と「永遠」をテーマにした作品でした。

私も、毎日がなんだか本当になす術もなく過ぎていってしまって、主人公の様な特別な状況でなくとも「不毛な毎日の繰り返し」をしてしまっているように感じるときがあります。

でも、この作品は教えてくれます。

不毛なのは「毎日」ではなくそういう毎日を送ってしまう「私」なのだと。作中ではこういっています。

この地球さえ、いつかは形を失う。永遠であるというなら、一瞬さえ永遠だ。(中略)不毛なのは《毎日》ではなく《わたし》だった。

と。

コワイくらい時間は早く過ぎていく。
毎日をいかに充実させるのかは、自分自身にかかっているのだと。自分の人生・自分の時間を、充実させるかは、自分次第だと。

この作品を読んで、頑張る元気がわいてきました。

出口 「リバース」(北村薫著)


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