私の入口 宮本輝作品



『ドナウの旅人・
上巻』
著者・宮本輝
感想:
再読。

なのだけれど、読んでみたら内容をほとんど覚えていなかったので、愕然とした。
こんなに記憶力なかったかしら・・・と。

でも以前読んだのは20代前半。この作品の良さを解るには、まだまだお子様だったのかも。読み返して、かなりハマった!現在、4冊併行で読み進んでいて、それぞれがまったく別のジャンルなので余計感じたのかもしれないが、宮本輝を読むと思うのは
「そうそう、
私の読書好きのもとはここなんだっ」てこと。

つまり、好みの小説家なのだ。(他にも大好きな作家はいっぱいいますが)なにより
美しい。文章も情景も心理描写も。
で、この人の特徴なのか、この人の作品だとそう強く感じるのかは解らないけれど、思うに、よく、、、主人公が、話しの進んでいく過程で、一見筋とは関係ないと思われる様々な出来事・人・言葉に出逢う。それ達が凄く良い!
本筋を彩る数々のエピソードに、深い哲学を感じるのは私だけじゃないはず。

この作品でも、その彩りが本当に深みがあって、読んで良かったあ〜〜!としみじみ感じさせてくれる。

抜粋
(もしあのときこうしていたら)で、歴史の運命が、そして人間の運命が変わっていくなんて、あんまりにも浅い結論の出し方じゃないか。彼と彼女は、あのとき行き違って逢えなかった。それでふたりは永遠に結ばれなかった。そういう場合、(もし)は(なぜ)になるよ。なぜ行き違ったかを考えるべきだ。

さあ、走りな。一分でも遅れたら、革命は失敗するぜ

何十時間の話し合いでも解決しなかったものは、自分が着ているものをすべて脱いだことで、たちどころに氷解した。

愛情を越えたもの、あるいは、あと一歩で愛情に達するものを私は絹子に対して抱いていたのでしょう。そのふたつは似て非なるものですが、同質の火力を持っている。」「いったい何を、自分の人生の忘れ物と考えるかは、人それぞれだろうが、人はみな多くの忘れ物をして人生を終えてしまう。

『虚無を希望に変える手品』『人間のエゴイズムを打ち砕く哲学』


まだ、上巻だけでこれですから!
下巻が楽しみです♪

(読んだはずがまったく先が思い出せない....)
出口 「二重らせんの私.生命科学者の生まれるまで」(柳沢佳子著)
この本の哲学と、宮本輝哲学とが、とってもダブルんです!

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