私の入口 | 『二重らせんの私 生命科学者の生まれるまで』著者・柳沢佳子 |
『ヒトゲノムとあなた・遺伝子を読み解く』 著者・柳沢佳子 |
感想: 入口にあたる「二重らせんの私」では、作者の研究生活がメインで、こちらはもう少し専門的。 でも、心を動かされるコメントはたっぷり。 難しい箇所は飛ばしながらでも、読む価値あり! これからの私たちが気をつけていかなければならない、警告も含め、考えさせられる事がいっぱいで、深く心に留めておきたい作品である。 「政府のミレニアム・プロジェクトの一環で、高血圧関係の遺伝子を解析する研究を承認しました。このセンターは、2000年2月に、吹田市の住民約5000人分の遺伝子を無断解析していたことが表面化しました。このようなことが、日本のあちこちで起こることを危惧します。」 「日本人には日本人のデータが必要です。わたしたちは試料となる血液の提供に協力しなければならないでしょう。(中略)けれども、私たちはそのような研究や検査の重要性について、きちんと教えられているでしょうか。秘密はどうやって守られるのでしょうか。」 「人類の遺伝子を操作できるようになると、優生学は形を変えて出てくることでしょう。出生前診断により、障害児とわかったら、人口流産させずに障害のある子供を産みたくても、産めないというようなことはすぐにも起こりそうなことです。」 「社会には、かならず一定の頻度で病気の子供が生まれます。社会がそのような子供たちを悪い遺伝子をもっていると考えるのは差別です。どんな障害の子供が生まれても、社会はその子供を受け入れて、幸せに生きていけるように福祉の充実をはからなければなりません。」 近年の急激な科学の発展は、社会対策が追いついていないだけに、非常に危険であることが、よく解ります。 最近の自己責任では、ありませんが、認識を深めることも、これからは、自己責任になってしまうのでしょうか。 |
出口 | 「患者の孤独 心の通う医師を求めて」 「卵がわたしになるまで」(柳沢佳子著) |