ブロバック(ブログに掲載したバックアップです) ブログ掲載;2005/6/11
私の入口 自宅蔵書

「項羽と劉邦」(司馬遼太郎著)
感想:

「項羽と劉邦」(司馬遼太郎著)を読みました。

割と前に読み終わったのですが、感想文を載せるタイミングを逃していました。

読み始めてから全3巻、なかなか長い道のりでした。
途中、息抜きに他の本をいれつつ、項羽と劉邦ふたりの戦いは続いていました。

まず、この本、というかこの二人の戦いから出てきた、現在使われている言葉が多くあるんだなあ、というのを楽しみに読んでいました。

例えば「背水の陣」とか「四面楚歌」とか。「馬鹿」という言葉のいわれも出てきました。

それほど、重みのある歴史の一時代なんだなあ、と思いました。

全体で感じることは、本当に中国とは古い歴史をもった国なんだ、ということ。
この二人の時代のずっと後になって、聖徳太子とかが日本にでてくるんです。それ程昔に、大きな時代のうねがあった。
戦いも、哲学も、文化も、宗教も、とにかく深く永〜く重ねられてきた、そういう国なんだなあ、と。

また、登場人物が、歴史上の英雄であるのに、実に人間味溢れる感じで描かれていること。
人間的に優れていれば、一時代を築ける人物になるワケではない。
大きくは、やはり運命とか、宿命とか、そういうものに歴史は支配されているのかしら、と思いました。

それでも、劉邦には劉邦の、項羽には項羽の、卓越した魅力がある。

今でいうところの、カリスマ性でしょうか。

二人のまわりには、人格の優れた人はいっぱいいました。
それでも、みんなが集まり、みんなが慕いつづける、その要素はまさにカリスマ性なのでしょう。

この作品は、一時代を読むだけでなく、多くの登場人物の生き様が面白く勉強になる一冊でした。

出口 韃靼疾風録・最後の将軍

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