ブロバック(ブログに掲載したバックアップです) ブログ掲載;2005/4/3
私の入口 自宅蔵書

寒椿
(宮尾登美子著)
感想:
寒椿」(宮尾登美子著)読みました。


最近、どうも図書館へ足を向ける機会が減り、なんとか家にある本でしのいでいるのですが、この「寒椿」もその中の一冊。

読後すぐに感じたのは、篠田節子著「女たちのジハード」を思い出し、篠田女史もこの寒椿読んだのかなあ〜?読んだだろうな〜。というものでした。

と、いうのもこの作品、時代背景こそ戦前戦後のまさに混乱の日本ですが、やはり女性が一生懸命に生きる姿を描いたもので、また、その生き方・幸せのあり方・人生の感じ方も、主人公達4人いれば4人ともに様々あるのだという、2作品テーマが多少同じ部分があるのです。

「寒椿」の中で印象的なのは、現代では考えられないが、親が自分の子どもを売り、その後もひたすらに食い尽くされるその子ども達(女性達)が主人公達だが、その中にそんな親をも慕う民子の姿でした。

自分がどんな事をしても親にお金を渡せることが何よりの喜び、という姿こそ、まさに現代には見られなくなってしまったように思われます。

また、主人公の一人妙子が、大人になり他人からは羨ましがられる立場にありながら、実はそれはそれで、まさに奮闘の人生だったことなど、人にはわからない苦労が、みんなそれぞれにあるんだ、と私は元気づけられる気持ちになりました。

どの主人公達の話も、苦労の連続で、ともすれば暗い救われない気持ちになりがちな話なのですが、だれもが精一杯生きている姿や、最後の爽やかさも合わさって、読み終わったあとは、自分の人生も頑張ろう!と、前向きになれる作品でした。
出口 「女たちのジハード」(篠田節子著)「櫂」(宮尾登美子著)

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